【第11話:洗濯物】
「妙子さん、これ。とんだ。カレーうどん。」 「とんだ。カレーうどん。…じゃないわよ~。なんでもっと早く出さないの~。」 「ごめんなさい。遅くなっちゃった。」 「あなたほんとそういうところお父さんにそっくりよ。変なところ似 […]
「妙子さん、これ。とんだ。カレーうどん。」 「とんだ。カレーうどん。…じゃないわよ~。なんでもっと早く出さないの~。」 「ごめんなさい。遅くなっちゃった。」 「あなたほんとそういうところお父さんにそっくりよ。変なところ似 […]
平日の昼下がり、妙子さんと真くんと一人の男性がロッジのソファでテーブルを囲んで談笑している。 妙子さんと同い年くらいの眼鏡の男性だ。 「いやあ、久しぶりに近くまできたもんだから。」 「それにしても、忙しいんでしょう、林く
カラン、コロン、カラン… 「こんにちは。今日、相談の予約をしています。笹川です。」 「ああ、こんにちは。池川です。どうぞ、中へ。迷わず来れましたか?少し遠かったでしょう。」 相談者は30代の女性で、失恋したのを機に相談に
相談者さんの対応を終えた妙子さんがロッジに来ていた。 妙子さんは販売開始になった自分の占いカードを真くんにプレゼントしている。 香苗はこの間のハーブの仕分けがどうにも癖になり、半ばやらせてくれと頼む形でキッチン前のカウン
「こんにちは、糸ちゃん。久しぶりだね。気分はどう?」 「さいこーだよ。今日もあそんでいっていい?」 「すみません、いつもいつも。」 「大丈夫ですよ。今日は用事がないし、一人でロッジにいてもなんだかね。」 真くんは、糸ちゃ
週末のロッジで、キーボードの音が響いている。 真くんが、雑誌に掲載する記事を書いているのだ。 誰もいない昼下がりのロッジで、外から差し込んだ日差しとそれを取り巻く柔らかな空気が、キーボードの音を受け止めている。 カラン、
カラン、コロン、カラン… 入口のドアベルが音を立てて一人の女性を迎え入れる。 40,50代の女性で、年相応であるが肌はきれいに見える。 わりに色白で、瘦せているとは言えないが小ぎれいにしている。レースのブラウスに柔らかな
連弾の勉強会(コンサート)当日、私はまだ完全に自分に自信を持てたわけではなかったが、それでも鈴音との演奏が楽しくて、どうしても両親に聞かせたいと思った。 意を決して迎えた本番。もちろん緊張はしたけれど、鈴音の音が私に寄り
【第4話:陽子の過去~音の魔法編~】 Read More »
「ね、連弾の組み合わせ発表見た?」 講義室に入ってくるなり、友人の美幸が興奮した様子で話しかけてきた。 「陽子、鈴音ちゃんと組むって!」 私が確認する前に先走って教えてくれた美幸を、恨めしい目で睨みそうになるのをぐっとこ
真くんには、霊感がある。 他の人の目には見えないものが見えたりするらしい。 私と真くんは同級生で昔から一緒にいたけど、私はそのことには気が付かなかった。 真くんも、別にそのことをみんなに言ったりしなかったと思う。 私たち