相談者さんの対応を終えた妙子さんがロッジに来ていた。
妙子さんは販売開始になった自分の占いカードを真くんにプレゼントしている。
香苗はこの間のハーブの仕分けがどうにも癖になり、半ばやらせてくれと頼む形でキッチン前のカウンターに座り込んでいた。
カウンターでは妙子さんが真くんに、その日対応した相談者さんのことで話かけている。
「私の昔のパートナーも、よく今日のギャンブルはどうなるか、何番の台を打てば当たるかって、聞いてたわね。」
「私はギャンブルについては占わないことにしていて、お伝えもさせていただいたんだけれどね。それが出来ないなら俺の嫌いな会社の上司はいつ亡くなるか言え、有名な占い師だろうとかって。丁重にお断りしちゃった。」
妙子さんのもとに来た相談者さんが、妙子さんが占う範囲を超えた質問してきたということだろう。
そのことに妙子さんが対応を求められ困惑した、という内容だった。
妙子さんは、占いをするときは正しい心で占いたい、ギャンブルでの利益を上げるためにどうするかは自分は占いでは聞けない。天にお伺いをたてるのにそんなよこしまな気持ちはぶつけられない、失礼になると思うとかそんなようなことを話していた。
香苗は、わかったようなわからないような気持ちになり聞き耳を立てながらも作業をつづけた。
真くんは同調したように話を聞いていたが、香苗がいまいちピンと来ていないことを察して補足するように話し始めた。
「俺たちはさ、占いやヒーリングで癒されたり得られるヒントもあるけど、それはあくまでも自分が努力を惜しまず人生を歩む上でのきっかけに過ぎないんだよね。
寿命に関しても、病気をすれば病院にいくでしょう。それが第一だってことじゃないかな。ましてや嫌いな人がいつ亡くなるか、なんて。
人の寿命は誰にもわからないし俺たちが手を出していい領域じゃないでしょう。それは神様の管轄だし、俺たちは与えられた時間、来るべき時が来るまで真摯に生きていくしかないだろうから。」
真くんの補足に満足した様子の妙子さんが、うんうん、と頷き納得していた。