第31話:星の呼応
ピロン…♪ “今日みんなでロッジにとまって星をみるんだけど、香苗もくる?” お気に入りの動画チャンネルの視聴画面の上から、LINEメッセージの通知が下りてきた。 泊まりかあ…。 …
ピロン…♪ “今日みんなでロッジにとまって星をみるんだけど、香苗もくる?” お気に入りの動画チャンネルの視聴画面の上から、LINEメッセージの通知が下りてきた。 泊まりかあ…。 …
土曜日の朝、香苗は自分の部屋で動画配信を見ていた。 特にこれといってやることもなく、部屋で寝転びながら美容整形のチャンネルを見ていた。 (ふーん、こんな風になるんだ…。) 自分が整形をしようと …
香苗は久しぶりにカフェ・リーベルに来ていた。 ひとつ前の恋人と、ここで別れ話をしてから、なんとなく足が遠のいていた。 今日は平日の仕事休みだった。 なんとなく、自分もそろそろ過去に踏ん切りをつけたくてこの場 …
「…。」 鉛のような心抱えて、香苗はロッジにきていた。 昨日、仕事でちょっとしたすれ違いがあった。 誰が悪いというわけでもなかったが、色々な人の言い分が錯綜し、香苗が変に注目され悪者のようになった。 &nb …
早朝、大雨が降った。 香苗はその音で一度目覚めた記憶があった。 土曜日の朝、ベッドから出てカーテンを開けると、まだ地面が湿っていた。 (ああ、早朝にふった雨のせいか…。) そう思いながら眠たい …
ブーン…ブーン… 香苗は、耳の中で継続してなり続ける重低音の中にいた。 足はむくんでじんじんとしていた。 香苗は飛行機の中にいるのだ。 日本からインドへと飛び立つ長距離便だ。 飛 …
朝はやく、真くんは神社の掃除に来ていた。 地域のコミュニティの関係で、ときおりボランティアで掃除に来ているのだ。 まだしんとした空気の中に、昇り始めた朝日が注ぐ。 時刻は早朝だ。 床をはく箒の音と、時折現れ …
「池川さん、今日はよろしくね。日勤でお産三人はいって、一人は昼間に経腟、一人はさっきオペ室で生まれてNICUに。もう一人は、うーん、今日の夜勤帯かなあ。」 「はい、わかりました。もう一人は38週で初産婦です …
カラン、コロン、カラン… 「こんにちはー。」 香苗がロッジのドアを開けて中に入ると、妙子さんがテーブルにパソコンを置いて作業をしていた。 パソコンに向かって文章を打ち込んでいる。 真くんは、キ …
「それで、彩さんはこれからアメリカに?」 真くんは、黒のワンピースをエレガントに着こなす女性に、レストランのテーブルをはさんで問いかけた。 「そう。私はアメリカに帰ろうかなって。ほら、私は父が日本人で母がア …