物語
第29話:新たな人生の始まり
香苗は久しぶりにカフェ・リーベルに来ていた。 ひとつ前の恋人と、ここで別れ話をしてから、なんとなく足が遠のいていた。 今日は平日の仕事休みだった。 なんとなく、自分もそろそろ過去に踏ん切りをつけたくてこの場
第28話:看板
「…。」 鉛のような心抱えて、香苗はロッジにきていた。 昨日、仕事でちょっとしたすれ違いがあった。 誰が悪いというわけでもなかったが、色々な人の言い分が錯綜し、香苗が変に注目され悪者のようになった。 &nb
【第25話:庭の掃除】
朝はやく、真くんは神社の掃除に来ていた。 地域のコミュニティの関係で、ときおりボランティアで掃除に来ているのだ。 まだしんとした空気の中に、昇り始めた朝日が注ぐ。 時刻は早朝だ。 床をはく箒の音と、時折現れ
第24話:祝福の朝日
「池川さん、今日はよろしくね。日勤でお産三人はいって、一人は昼間に経腟、一人はさっきオペ室で生まれてNICUに。もう一人は、うーん、今日の夜勤帯かなあ。」 「はい、わかりました。もう一人は38週で初産婦です
第22話:離婚
「それで、彩さんはこれからアメリカに?」 真くんは、黒のワンピースをエレガントに着こなす女性に、レストランのテーブルをはさんで問いかけた。 「そう。私はアメリカに帰ろうかなって。ほら、私は父が日本人で母がア