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【第9話:人生を創る】



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カラン、コロン、カラン…

「こんにちは。今日、相談の予約をしています。笹川です。」

「ああ、こんにちは。池川です。どうぞ、中へ。迷わず来れましたか?少し遠かったでしょう。」

相談者は30代の女性で、失恋したのを機に相談に来たらしい。

自分の人生、これからどうなるんだろう。この先自分は幸せになれるのか、人生において出会う人や起こる出来事がすでに決まっているなら教えてほしい、自分は不幸になる運命なのではないか、と様々な不安を抱えているようだった。

真くんは相談者さんを奥の個室スペースに案内し、自分も腰かけると、ロッジに差し込む光の、更に奥を見るような目で話し出した。

「そうですね。人生というのは、ある程度の青写真というか、起こりうる出来事や出会う人について決まっている部分もありますよ。」

「だけれどね、その青写真の間をどんな映像、体験で埋めるかは自由と言ったらいいのかな。例えばパイプのようなものがあったとして、僕らは人生においてその中を進むとしたら、それはところどころ間があいて切れているようなイメージなんですよね。そしてその間のあいたところで、周りの他のパイプにつなげることもできるんです。節目に来た時にどのジョイント部品をはめるかで、次につながる道を変えられるとでもいうのかな。」

「だから人生って、もともと決まっているものと、自分の選択で変わりうるもののコンビネーションとも言えますよね。あなたが進むパイプの中も、あなたが好きな色に塗ることができますよ。更に言えば、節目節目でのあなたの選択によって、先に起こることはどんどん変わります。あるパイプの中を出たところで、次にどのパイプにつなぐのか、そこらへんは自分の意志で選択できますし、つないだパイプの中をどんな色に塗るのか、どのくらい水を流すのかなど、それによって未来はどんどん変わりますよ。」

「わたし、今度こそはやっとって思ってたんです。幸せになれるって。でも駄目だった。どうして…。また、恋愛がうまくいかなかった。いつもこうなんです。」

真くんは、またも遠くの景色のさらに奥を見るような目で空間を見つめる。

「えっと、何と言ったらいいのかな。あなたがお付き合いしていたその男性ですけれど。すみません、お別れすることは決まっていたように思います。それから、あなたはその方と過ごして、何か気づいたことはありませんでしたか。」

「気づいたこと…そうですね。なんというか、もう一緒にいて負担になる人といるくらいなら一人でいた方がましだったのかな、と思いました。今までは、誰かと一緒にいないと生きていけないみたいなタイプだったんですけど。」

そこ、なんですよね。と真くんが続ける。

「あなたはどうも今までのところは、自分を持った恋愛というよりは、相手に尽くし、いや尽くしすぎて身も心も引きずられるような恋愛で自分の体力を奪われていたようにみえるんです。そして今回のことで、それに気が付いた。

違和感を感じて、自分も変わろうとしているんですよ。」

笹川さんの心にはじーんとした振動が広がり、中がとけていくような感覚を味わった。

「私、変わればうまくいくんでしょうか。なんだか自分は恋愛には向いていないような気がして…。」

「今後は、あなたにちゃんと恋愛の縁がある方が見えますよ。だけれどそのお方とも、あなたが今までのように相手に依存し自分から都合のいい女枠に入っていくような行動をとるなら、うまくいきません。今回のことで、あなたが恋愛における自分のあり方について学び、行動するなら、次の縁では幸せな関係を作りあえるように思います。今回の方はあなたにそれを学ばせるための登場人物であったようにも思いますね。

次に成功するための練習、あとで必要な考え方とかスキルを手に入れるための練習試合のような。」

笹川さんは静かに一本線の涙を流し、固まっていた肩の位置を下げた。

「今回の恋愛は、無駄じゃなかったってことですか…。私、幸せになれますか。」

「なれますよ。

…というより、幸せになる選択を自分でするんです。今後は縁のある男性も見えますし、今回の恋愛はそのときあなたが輝くために必要な学びを得るタイミングだったのかもしれませんね。」

「人はみんなさみしがりやですよね。だけどそのさみしさを埋めるために、自分にそぐわない人を受け入れる必要はありません。一緒にいてくれたら、誰でもいいと思って求めた人は、本当に誰でもよかったという類の人が寄ってきてしまいます。そして結果的に一緒にいてくれたその誰でもよかった誰かを、必死に好きになろうとして疲弊しちゃうんですよね。」

笹川さんは胸の中でパンパンになっていた思いをあふれさせるように涙を流し深くうなずいていた。

真くんは続けた。

「繰り返しになりますが、人生において出会う人や起こる出来事は決まっている部分もありますが、自分で変えられる部分もあります。あなたが不幸になる運命でどうあがいても無駄ということは決してありません。むしろ今回のことから学び取り、今後は恋愛面で感情的になりすぎるのを抑えて、次に挑むなら、幸せになりやすくなりますよ。

あなたは未来に出会う素敵な人のために、今回の恋人と別れて、自分磨きもして、適切に準備したんですよ。それが現実の世界では恋人と別れたという一見悪くてさみしい結果のように表出していますけれど。」

笹川さんは、自然と胸が深く空気を吸い込み深呼吸するのを感じた。

表情は自然と明るいものに変わっていた。

「・・・・。私の人生に、そんな見方があったんですね。自分でも薄々気づいてはいたんです。あの人は自分にはあってなかったなって。ずっとしんどかったんですけど、好きになろうとしてたのかもしれません。

なんだか気持ちが楽になりました。私にも未来がある、次は絶対幸せになれるって、そんな気がしてきました。

それに、私、幸せになりたいです。今回の彼のことは、私も精神的に依存していた部分が大きかったし、自分でもそこはよくなかったなっていうのはわかってたんです。今度はそこを変えていきたいです。」

「そうですか。あなたは、家庭を持ったり子育てをするのに大変むいていますよ。よくない人に振り回される刺激的な恋愛というよりは、堅実な方と一緒になればあなたの性格も生かせるいい形に落ち着くと思います。恋愛に向いていないということはありませんから、今後は結婚や子育てを一緒にしたいような方を選んでみて。

そうだ、それから、趣味の世界。自分が没頭できる趣味の世界を作ってみたら。」

と真くんは最後に付け加えた。

笹川さんは真くんに鑑定料を払い、真くんの入れたお茶を涙の分だけ補給して出口へ向かった。

カラン、コロン、カラン…

扉を開けると、太陽の光がまぶしく顔や心の中にしみこんでくるようだった。

まだ乾ききらないまつ毛の涙と、外の太陽の光が対照的で妙な気持ちになったが、鑑定の前とは比べ物にならないくらい、心は明るく前向きに変化していた。

笹川さんは空を見上げた。

大きく腕を上げ伸びをした。

***

数年後、彼女から「名字が変わりました。」と赤ちゃんを抱いた写真付きはがきが届いた。

相手は、これからは男性に振り回されず少しでも強くなろうと始めた、キックボクシングのクラスで出会った男性だったようだ。

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