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【第4話:陽子の過去~音の魔法編~】



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連弾の勉強会(コンサート)当日、私はまだ完全に自分に自信を持てたわけではなかったが、それでも鈴音との演奏が楽しくて、どうしても両親に聞かせたいと思った。

意を決して迎えた本番。もちろん緊張はしたけれど、鈴音の音が私に寄り添ってくれて、私は気付けば音楽に没頭していた。色彩豊かな音に没入し、自分が最高に素敵だと思える音色で鈴音の奏でる響きに応えた。

「あんなに楽しそうにのびやかに演奏する陽子、初めて見た。音も、高校生の頃は硬いって言われてたけど明るくて響く音が出るようになったよね。」

本番後に母からそう言われ、私はふいを突かれたように固まった。そんな風に見えていたのか。そして、聞こえていたのか。

「ピアノが…良いからじゃない?」

照れくさくて、そう返しながらも、これまで感じたことが無いような充足感と喜びが胸の中に広がっていった。

***

自分が変わると世界も変わる。

気付けば、人脈が幾重にも増えていき、何よりも私自身が私を好きになっていった。

これまでは、舞台に上がるのが怖かった。演奏そのものも緊張したけれど、それよりも自分の外見が気になっていたから。いつも「不細工が舞台なんか出て。」と陰口を言われるんじゃないかとビクビクしていた。

自分に自信がつき、自分を好きになったことで、その恐れが無くなった。

舞台に上がるのが楽しくなった。

それは確実に、観客にも伝わったようだった。

自分の演奏やパフォーマンスを楽しめるようになると、もっとピアノの腕を上げたい、もっとこの音を観客に届けたいと思うようになり、今まで以上に練習に励んだ。そして、ついに私は学部内で優秀な学生だけが出演できる「外部卒業演奏会」の出演権を獲得するまでになった。

外部卒業演奏会には鈴音も出ることが決まり、久々に連弾しようか、という話で盛り上がった。結局、私たちは2台のピアノのための楽曲を演奏することに決まった。

そして迎えた演奏会本番。

連弾の本番前のように緊張で固まっていた私は、もういなかった。

鈴音と「楽しんで演奏しようね」と言い合い、胸を張って舞台へと進み出た。

スポットライトを浴びることが、そして多くの観客に注目されることが、こんなにワクワクするなんて、ほんの数年前までは知らなかった。

素晴らしい音楽の世界に誘ってくれたのは、他でもない、目の前にいる鈴音だ。

視線を合わせ、呼吸を合わせ、ピアノに指を下ろす。

音の波が会場を包み込んだ。

始まってしまえば、あとは音楽に身を委ねるだけだ。

私は存分に自分たちの演奏を楽しんだ。

終演後にロビーでお客様たちへ挨拶をしていると、何人もの人に「素晴らしかった!」や「涙が出た」など、声をかけていただいた。

私の、私たちの音楽が、観客の心に届き、心を動かしたんだということを知り、私の目にも熱いものが込み上げてきた。

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