「妙子さん、これ。とんだ。カレーうどん。」
「とんだ。カレーうどん。…じゃないわよ~。なんでもっと早く出さないの~。」
「ごめんなさい。遅くなっちゃった。」
「あなたほんとそういうところお父さんにそっくりよ。変なところ似ちゃったのかな。もぉ~。仕方ないなあ…。」
真くんは洗濯が苦手だ。
しわしわになるし、ちゃんと汚れがおちない、と言っている。
妙子さんは、しわしわになるのも汚れが落ちないのも、洗ったり干すまでに時間がたってるからでしょう、と言っている。
どちらが正論なのかわからないが、真くんは妙子さんに申し訳なさそうにしていたし、妙子さんもなんだかんだ言いながら少し嬉しそうだ。
真くんは、だめならだめで大丈夫だからとかなんとか言って、妙子さんと洗濯物を挟んで右往左往していた。
香苗は、真くんもそういうところあるんだなアと思い、それを横目で見ながらロッジで作業をしていた。
真くんって、彼女とかいるんだろうか、いやいないだろうな。
なんて思いながら、洗濯物を挟みうろたえる家族のかたちを見ていた。