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【第6話:空間の香り】



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週末のロッジで、キーボードの音が響いている。

真くんが、雑誌に掲載する記事を書いているのだ。

誰もいない昼下がりのロッジで、外から差し込んだ日差しとそれを取り巻く柔らかな空気が、キーボードの音を受け止めている。

カラン、コロン、カラン…

「真くん、久しぶり。」

香苗は、真くんがインターネットで販売しているハーブ類の梱包のため、ロッジを訪れた。

乾燥させたハーブからピンセットで不純物を取り除き、同じ重さに軽量して袋詰めする作業だ。

「お久しぶり。お願いしてもいい?」

「うん。」

香苗はもくもくと集中できるこの作業が以外にも気に入っていた。

それにこの作業を手伝うと、真くんはいつも自分で作ったアロマをくれたりするものだから、その点も気に入っていた。

香苗はキッチンのカウンターに座り、道具を自分なりの位置に整え作業を始めた。

真くんが打つキーボードの音と、差し込む太陽の光、木とハーブの香りだけが香苗を包み込んでいた。

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