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【第19話:散歩】



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「ねえ。俺、外歩いてくるけど、どうする?ここにいる?」

 

真くんはロッジで本を読んでいる香苗に話かけた。

 

「あ、いや行く。」

長く読書をしていた香苗は、少し外を散歩したい気持ちにもなって答えた。

 

二人は森の中の軽い散策コースに散歩に出かけることにした。

 

「へえ、こんなになってるんだね。よく来るの?ここ。」

 

「お世話になりっぱなし。ここがないと俺はだめだね。すごく助けられてる。」

 

「そうなんだ、気に入ってるの?」

 

「気にいってる、そうだね。それもあるし、なんていうのかな、霊視するでしょ、俺。

霊視するときってね、いったん自分の自我みたいなものを白紙にして、自分をなくしていくんだよ。それで真っ白になった紙やホワイトボードのようなものを心の中に作って、そこに相手の情報や画像、映像を転写していくといったらいいのかな、俺はそうしてて。」

 

「へえ。」

こういう話を香苗が真くんから聞くのは初めてだった。

 

「そうするとね、白紙にした心の中がしばらく戻ってこないことがあるんだよ。理解しがたいかもしれないけれど、自分の心がどこか別の場所に行っちゃってるみたいな感覚になることがある。自分自身がこの世の中をしっかりと腰を据えて生きていないような感じっていうのかな。心ここにあらずみたいな。

それを取り戻すのに数日かかることもあるんだよね。ここを歩くと、自分を取り戻す助けになるんだ。」

 

真くんは、自然の中を歩くことは偏ったエネルギーのバランスを整えて、しっかりと足元にも気を充満させるのにも役立つと言っていた。

 

「あ、それこの間の真くんのブログで見たよ。グラウンディングが何とかって。」

 

「そうそう、それ。」

「うまくグラウディングできていないと、この世の中にどっしりと腰を据えて生きていけないというのかな。足元のエネルギーが不足してオーラが逆三角形みたいになって体もグラグラする。頭の方に気が偏っちゃって、精神的にも不安定になるから。」

 

そうなんだ、と香苗はまったく新しい考え方を真くんから取り入れていた。

 

「グラウディングには他のやり方もあるんだけど、白紙になった自分の心を取り戻すには、ここの散歩が効くんだよね。」

 

「白紙になった心かあ、どういう感覚なんだろう。」

香苗は明確にイメージすることが出来ずに、独り言のように答えた。

 

「香苗さ、海外旅行とか行ったことある?」

真くんは思い立ったように香苗に尋ねた。

 

「ああ、あるけど。」

 

「その時さ、海外にいる間ずっと英語を話すでしょう。そしたら急に日本語で話そうと思っても日本語が出てこないときない?もしくはその逆で、急に英語が出てこないとか。

どうしよう言いたいことはあるのに急だとうまく文章に組み立てられない、みたいな。」

 

香苗は大学の卒業旅行で、同級生たちと海外旅行に行ったことがあった。

日本の同級生たちとの旅行ではあったものの、真くんの言っていることはわかる気がした。

 

「ああ、なんとなくわかるかも。」

 

「その感覚に少し似てる。ずっと英語を話していると、急に日本語で話しかけられても日本語での文章の組み立て方とか忘れちゃうじゃん。それと似たような感じで、いったん自分自身のことは忘れているんだよ。わきに置いて、心は白紙にして相談者さんの状況を映している。それを取り戻さないと、自分の心がどこかにいっちゃうんだ。」

 

真くんは、うーんとのびをして空を見上げた。

木漏れ日が木々の葉の隙間から、まぶしく顔の上に降り注いでいた。

 

真くんも見えないところで大変な思いをしているんだな、と思いながら香苗も久しぶりの森林浴を楽しんでいた。

 

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