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【第21話:自分たちの解釈】



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カシャン、カシャン、カシャン、カシャン…

妙子さんが占いのカードを切っている。

 

「ねえねえ、これどう思う?」

妙子さんはカードを並べたものを眺めながら真くんに問いかけた。

 

「ん~?俺は占いのことはよくわからないけど…。」

 

「不倫、転職、物事が解消してすっきりとした気持ち。悔しい。」

妙子さんがカードの意味を読み上げる。

「どんな状況が考えられると思う?」

 

「え~、妙子さんなに。謎解き?」

真くんは苦笑いし、そんなのわからないよと言いながらカードを見つめる。

 

「不倫、転職でしょ。わからないけど、普通だったら不倫して職場にいづらくなって転職したとかですか?それで結果的には自分の気持ちはすっきりとして落ち着くところに落ち着いたんだけど内心悔しいとかかな。よくわからないけど。」

 

「そうだよね。他には、奥さん側の立場とかかな。不倫されたんだけど、相手の女の子が職場を変えることになって、問題がすっきりと片付いた。だけど不倫されたことに対しては悔しい気持ちがある、とか。」

 

「あ~なるほどね。」

 

「だけど他にない?他に考えられる状況ってないのかな。」

 

「え~なんだよ妙子さん、テスト?」

真くんは笑いながら答えて、またカードを見ながら考えた。

 

「職場の人の気持ち、とか。職場に不倫している人がいて、それがばれて該当者が転職することになった。だけど職場の人はその該当者に迷惑をかけられたからすっきりとした気持ちと共に悔しい気持ちがあるとか。

または、不倫していた相手が何人か同じ職場にいたとか、かな。

何人かいた内の不倫相手の中から、自分が転職することになって悔しいとか、それは色々あるんじゃないかな。」

 

「なるほどね~。そういう考え方もあるか。」

 

「どうしたの妙子さん。俺はもう学生は卒業したかと思ってたけど。」

 

「いや、ほら、こういう占いカードとかってね。カードが示す言葉や絵柄って嘘をつかないんだよね。だけど自分の解釈が追い付かず間違ってとらえることがあるの。私はそういうことをなるべく減らして先入観なく人をみようと常々思っているんだけどね。なかなかその解釈が追い付かないときがあって、それであなたならどう思うかなって。」

 

「そういうこと。俺も似たような経験があるよ。

俺も、霊視のときに降りてくる言葉って嘘をつかないんだけど、自分の解釈が勝手に間違えることがあるんだよね。

降りてくる言葉も断片的で、そのつながりはわからないことがある。経験をもとにしてつなぎ合わせるんだけど、その経験っていうのが厄介なんだよね。

自分の思い込みや先入観で、ありとあらゆる状況を想定できないことがある。あらゆる状況を想定しすぎると、質問者さんの状況がわからなくなるし、難しい問題だよ。」

 

妙子さんと真くんは、この日、二人でカードを見ながらキーワードから考えられる様々な解釈について話し合っていた。

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